前回[オフラインで環境整備してディスクの使用量を減らす]ことができたので,将来的なことも踏まえた仮想ディスクの調整をしたあと,最後にオンライン作業を完了させる.
□ 仮想ディスクの圧縮 (compact) と縮小 (shrink)
・仮想ディスクの圧縮
不用なプログラムやファイルを整理して,仮想マシン上でディスクの空きを増やしても,一度拡張されてしまった可変サイズの仮想ディスクのファイルサイズ(実サイズ)は自動で減ることはない.
Windows 標準の diskpart コマンドを使えば,空き領域のぶんを解放して圧縮する(実サイズを減らす)ことができる.
ただ,削除されたファイル等は目隠しされただけの状態であり,エクスプローラーからは見えないが,データは(新たに上書きされるまで)ディスクに書き込まれたまま残っている.
復元ツールを使って,削除してしまったファイルが復元できたりするのはこの仕組みを利用しているのだが,diskpart コマンドはこの状態のままの領域を空きとしては認識しない.
このため仮想ディスクを圧縮してファイルサイズを減らすには事前に,HDD を破棄する際に使われる[dkclear などのツールを利用して,空き領域をゼロ埋め]したのち,[diskpart コマンドにより圧縮]する,という手順を踏む.
※ 仮想ディスクが VirtualBox 標準の VDI (Virtual Disk Image) 形式の場合は[VBoxManage コマンドで圧縮]可能.
・仮想ディスクの縮小
圧縮により仮想ディスク ファイル (*.vhd) の実サイズは小さくなるが,仮想化ソフトウェアや仮想マシン上から確認できる仮想的なサイズ(=拡張できる上限)や各ボリュームの容量は,実機から P2V した時点から変わらないままである.
仮想ディスク上のボリューム容量が大きいままだと,ファイルやプログラムが直接書き込まれなくても例えばデフラグや巨大プログラムのインストール時の作業用として一時的に空き領域が使用されただけで,せっかく圧縮した仮想ディスクがまた膨らんでしまうことがことがある.
これを防ぐために容量に余裕のあるボリュームを縮小して,未割り当て領域を作り,これをディスク上から削除することで仮想的なサイズ,つまりは拡張上限を明示的に小さく固定できる.
ボリュームの縮小は最大で空き領域のぶんだけ可能だが,OS 標準の「ディスクの管理 (diskmgmt.msc)」を使う場合,(実際の空きはボリュームの中で分散しているため)ボリュームの末尾にある連続した空きのぶんまでしか縮小できない.
このため,実際に縮小できるサイズはボリュームの空き容量に比べて少なくなる.
※ 無理なサイズを指定した場合には,縮小処理中にエラーとなり,操作はキャンセルされる.
無料のディスク管理ソフト[AOMEI Partition Assistant Standard Edition]を利用すれば,不連続だった部分も末尾に移動させてまとめることでより効果的な縮小が可能となる.
日本語にも対応していて,「ディスクの管理」で VHD を接続してから起動すれば,あとは GUI により直感的に操作できる.
未割り当て領域ができたら,これを「Vhd Resizer」を使って縮小すれば,仮想サイズが小さくなる.
参考記事:[Windowsでディスクのボリュームサイズを縮小する] (@IT Tech TIPS)
※「Vhd Resizer」の 2016/12 現在の入手ルートについては[容量固定(Fixed)のVHDを縮小する]を参照.
縮小後の希望サイズを指定して [Create] すれば,縮小化された仮想ディスクが新たに作成される.
未割り当て領域を全て差し引いたぶん (Min) まで縮小が可能だが,完全にゼロにすることはできないので Min + 1G (1024MB) 程度が設定可能な最小値となる.
なお,ホストに十分な空きが無いと一見成功したようで変換に失敗していることがある.
「ディスクの管理」で接続エラーが出たり,VirtualBox で OS 起動できても動作がおかしい(Microsoft Security Essential が無効になったまま有効にできない,といった症状が出た)場合は失敗している.
縮小後,僅かに残った未割り当て領域は「ディスクの管理」か「Partition Assistant」を使って,手前のパーティションを拡張して吸収させる.
なお,可変 (Dynamic) から固定 (Fixed) サイズのディスクへの直接変換はできないようで(処理が一瞬で終わり,サイズ 0 のファイルができているだけだった),縮小した可変ディスクにひとまず変換したのち,同サイズの固定ディスクに再変換する必要がある.
ホストの空きにゆとりがあるなら,(実サイズが最初から大きくはなるが)固定サイズのほうがパフォーマンスは良くなる.
□ 環境整備(オンライン)とアクティベーション(ライセンス認証手続き)
オンラインにして,最後の作業を完了させる.
・Windows Update
先入れや HotFix での適用漏れがないかチェックする.
・IME の辞書アップデート
Microsoft Office IME 2010 の辞書は自動更新されない(不具合?)ので手動で行う.
・プログラムの更新確認・インストール・同期
既存プログラムのアップデートをチェックする.
大抵の場合,プログラムの起動時に自動か,メニューの[ヘルプ]-[バージョン情報]などから確認できる.
オンラインでなければ導入できなかったプログラムをインストールする.
Firefox は Sync 機能を利用すれば,設定やサイトのログイン情報(アカウント・パスワード)を簡単にホストと同期できる.
Firefox アカウントやパスワードを忘れてしまった場合:
ホスト上の Firefox のメニュー (ALT) から[ツール (T)]-[オプション (O)].
開いた「オプション」タブから「Sync」の設定に移り,Firefox アカウントの[アカウントの管理].
「Firefox アカウント」タブが開くので,アカウント名を確認した上でパスワードの[変更...]で展開.
旧パスワードの項目にある[表示]を長押しすれば,設定済みのパスワードが見える.
・アクティベーション,猶予期間の延長
再アクティベーション要求が発生した場合,ライセンス認証のための期限が切られる.
繰り返しになるが,VAIO VGN-SZ シリーズにプリインストールされた OEM 版 Windows Vista の場合,15 日間の猶予があり,これを過ぎると一定時間おきに強制再起動されたり,ログイン自体ができなくなったりする.
OS を継続的に使用したいなら,猶予期間内にプロダクト キーを登録してアクティベーションを完了させるようにする.
猶予期間の確認(とアクティベーション)は[コントロール パネル]-[システムとメンテナンス]-[システム]にある「Windows ライセンス認証」から行えるが,より詳細な情報は「slmgr /dlv」コマンドで参照できる.
また,Windows Vista の場合,最大 2 回まで期間をリセットさせることができる (slmgr /rearm).
つまり,認証なしでも最大 45 日間の仮想マシン使用が可能である.
※ 延長ではなく,リセットなので残りの日数があるときに実行すると,残っていたぶんは失われてしまうので注意.精確な残り時間は「slmgr /xpr」で確認できる.
参考記事:[Windows OSのライセンス認証の猶予期間を延長する] (@IT Tech TIPS)
・UAC と自動ログオンの再設定
必要なら UAC を有効に,自動ログオンを無効に戻す.
以上で P2V の全行程が完了.
最後に仮想ディスクのバックアップ コピーを作るか,VirtualBox でスナップショットをとって,ここまでの状態をいつでも再現できるように保存しておくと良い.
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