実機 PC の仮想化 (3/4) [Disk Defrag / SP+メーカー / VirtualBox]

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投稿者 AlbertSteins on 2017年1月15日日曜日 , in , , , , , ,
P2V の第 3 回.

前回[起動に成功した仮想マシン]だが,長らく休眠していた PC には環境整備が不可欠.

今回はオフライン作業を中心に,VAIO VGN-SZ シリーズの仮想化に特有の問題にも対応する.

※ 仮想マシンに限らず,長期休暇していた物理マシンの再生にも参考にして頂けます.


□ 仮想マシンの環境整備(オフライン)

仮想マシンの起動に成功すると,OS によりハードウェア構成がチェックされ,ディスクの接続された PC が以前とは異なる機体だと判定された場合,期限内にライセンス認証が必要となる.

実際にライセンス認証を行うかの判断はあとに回すとして,まずは仮想マシンの環境を整備する.
オフラインでの主な作業内容は以下のようになる.

  • 不要な常駐ソフト・サービスの停止
  • UAC と自動ログオンの設定
  • 「VirtualBox Guest Additions」のインストールと解像度の設定
  • キーボードの設定
  • ライセンスの確認
  • Windows の設定
  • 不要なドライバ・プログラム・ファイルの削除
  • ディスクのクリーンアップ,デフラグ,復元ポイントの削除
  • HotFix の作成・適用 (Windows / Office)
  • 必要なプログラムのインストール・更新

・不要な常駐ソフト・サービスの停止

「このリチャージャブルバッテリパックは使用できないか、正しく装着されていない可能性があります。

[OK]ボタンを押すと本機は休止状態に移行します。

本機の電源が切れたら、取扱説明書を確認し、リチャージャブルバッテリパックを完全に取り外した後に正しく装着して下さい。」

仮想化した VAIO で起こるだろう最初の障害がこのポップアップ.

仮想マシンのためか [OK] を押しても休止状態とはならなかったが,数秒間隔でリフレッシュされてデスクトップの中央最前面に表示され,その度にコントロールを奪っていくため,ほかの作業がほとんどできない.
実機ではバッテリパックの状態をチェックして問題があれば,この警告が出る.
仮想マシンではそもそものバッテリパックが無いので,チェックプログラム自体を停止させる必要がある.

「システム構成ユーティリティ (msconfig.exe, Microsoft System Configuration Utility)」を起動して,「スタートアップ」タブで「ISB Utility (Sony Corporation)」を停止後,再起動すれば解消する.

サービスにも不要なものが少なくない.
管理ツール「サービス (services.msc)」を起動して,必要ないものは停止させる.

参考記事:[VAIOの不要な常駐ソフトを止めてみた


・UAC と自動ログオンの設定

環境整備の作業中は管理者権限の操作や再起動が頻繁となるので,UAC(ユーザー アカウント制御)を無効,自動ログオンを有効にしておくと手間が省ける.

Windows Vista で自動ログオンを有効にするには,「ファイル名を指定して実行 (Win + R)」で「control userpasswords2」,「ユーザー アカウント」が表示されたら「ユーザーがこのコンピューターを使うには、ユーザー名とパスワードの入力が必要」にチェックを入れる.


・「VirtualBox Guest Additions」のインストールと解像度の設定

ホストと実機の画面解像度に差がある場合,仮想マシンのデスクトップがこじんまりと表示されたり,逆にホストの画面内に納まらなかったりする.

画面リサイズのために「VirtualBox Guest Additions」を入れる.

仮想マシンのメニューから[デバイス]-[Guest Additions CD イメージの挿入...].
インストールが終了して,再起動したらデスクトップのサイズを変更する.

メニューの[表示]-[仮想スクリーン 1]からまずは実機に近い解像度を選んでおく.
※ ライセンスの確認後(後述),好きに変更してもいい.

[表示]-[表示倍率]で表示サイズも好みに調整できる.


・キーボードの設定

キーボード(日本語・英語)が移行前の実機とホストで異なる場合,仮想マシンは実機のドライバを引き継いでいるため,入力がホストのキートップ印字と一致しなくなる.

ホストが日本語,実機は英語キーボードだったので,仮想マシンの「デバイスマネージャー (devmgmt.msc)」で,キーボードのドライバをローカルの手動検索で「日本語 PS/2 キーボード (106/109 キー)」に変更したら改善された.
※「互換性のあるハードウェアを表示」のチェックを外さないと該当のドライバは表示されない.

Update Keyboard Driver

XKeymacs や Change Key などのフリーソフトでレジストリ編集してキーボード配列のリマッピングをしていた場合は,仮想マシンにも引き継がれる.
ホストの設定と同じなら,仮想マシンの設定は初期化しても問題ない.
仮想マシンをゲーム専用機にして,特定のゲームの操作がしやすいように変更したい場合など,ホストと仮想マシンとでマッピングを変えたい時には仮想マシンでも設定する.


・ライセンスの確認

PC にインストールされた Windows OS を継続して使うには(それが正規に入手された Windows であることを証明するために)インストール時,もしくはインストール後の猶予期間内にプロダクト キーを入力してライセンス認証手続きである「アクティベーション」を行う必要がある.
※ 猶予期間が設けられているのは,自作 PC 等で最終的な構成に落ち着くまで,OS インストール後の短期間に大きくハードウェア構成が変わる場合があるため.

猶予期間は OS のバージョンやエディション等により異なるようだが,VAIO VGN-SZ シリーズにプリインストールされた OEM 版 Windows Vista の場合,15 日間.
また,2 回のリセットができる(詳細次回).

猶予期間を過ぎると,機能が制限される,一定時間おきに強制再起動される,ログイン自体ができなくなる,といった通常稼働ができない状態になる.

ライセンス認証されているかは,[コントロール パネル]-[システムとメンテナンス]-[システム]で最下段あたりにある「Windows ライセンス認証」の項目で確認できる.
※ ここに記載されている「プロダクト ID」は「プロダクト キー」とは別物.

プロダクト キーは Windows のインストール ディスクやプリインストール機であれば本体底面の COA (Certificate of Authenticity) ラベルで確認できる.
見つからない場合は,OS 標準では確認手段が用意されていないのでフリーソフトに頼る.

参考記事:[インストール済みのWindows OSのプロダクトキーを調べる] (@IT Tech TIPS)

Windows 2000 ではインストールされた複数の PC でひとつのプロダクト キーを使い回すことができた.
Windows Vista ではひとつのプロダクト キーはひとつの PC でしか使用できず(法人向けのボリューム ライセンスを除く),OS の再インストールや同じ PC でもハードウェア構成が大きく変わった場合には,再びアクティベーション要求が発生することもある.
※ Windows 10 では「デジタル ライセンス」という新しい方式が採用されていて,同じエディションであればプロダクト キーも同じとなる.

参考記事:
Windows XP, Windows Vista, Windows 7の種類 - ライセンスの比較
Windows10のプロダクトキーを確認する方法](windows操作まとめ)

P2V したディスクを仮想マシンに接続した場合も(仮想的な)ハードウェア構成が実機とは異なるため,ほとんどの場合,アクティベーションが要求される.

このとき仮想マシンが以前と同じ PC と認識されない(=実機と別物の PC と判定された)場合には,別のプロダクト キーが必要となる.

VAIO VGN-SZ シリーズの場合,実機にインストールされた OS に使用されているプロダクト キーと COA ラベル上のキーは別らしく,一度だけに限りディスクを物理もしくは仮想的に別 PC へと移して使える.

貴重なプロダクト キーを使用するかどうかは,仮想化した OS の用途次第.
データ等の救出だけが目的なら猶予期間のあいだに作業を済ませれば,仮想ディスクは用済みとなる.
継続的に使いたければ,残りの移行作業を済ませたあと,ホストのスペック的に仮想マシンが軽快に動作するか確認した上で,最後にプロダクト キーを消費してアクティベーションを行うことになる.

Windows Vista SP2 は[延長サポートの終了期限]2017/04/11 が迫っているということも念頭に置く.


・Windows の設定

タスクバーの位置.
ホストが横置きなら仮想マシンは縦置きにしたほうが混同しないし,デスクトップの縦幅を奪われない.

動作の軽量化のため,壁紙をシンプルにしたり,デスクトップ上のアイコンを減らす.
アニメーション処理なども「システムのプロパティ (sysdm.cpl)」の「詳細設定」タブにあるパフォーマンスの[設定]で視覚効果の不要なチェックを外す.

IME の設定.
マイクロソフト アカウントでのログインができない Windows Vista では設定を同期させる手段がない.
必要があれば,ホストと同じ動作となるように手動で設定を修正する.
OS 標準の IME をそのまま使っている場合は,この機会に[Microsoft Office IME 2010]を導入すれば,変換速度などのパフォーマンスが向上する.


・不要なドライバ・プログラム・ファイルの削除

実機でなければ無用なドライバ・プログラム類を「プログラムの追加と削除 (appwiz.cpl)」から削除する.

例えば,タッチパッド関連はホストと仮想マシンの両方に入っていると干渉して動作がおかしくなったりする.
実機に搭載されていた NVIDIA GeForce Go 7400 GPU 関連(グラフィックドライバ)も不要.
VAIO Update や VAIO 実機のセンサー等と連動してしか機能しない「指紋認証」「カメラ」「ハードディスク プロテクション」なども意味がない.
なんだかよく判らないものもネット検索すれば大抵,何らかの情報は上がってくるので,必要かどうかの判断材料にする.

プログラムはホストだけに入っていれば十分なものは,仮想マシンからは削除.
バージョンが古く,引き継ぐ設定も特にないようなソフトも削除してあとから入れ直す.

ネットゲームのように更新頻度の高いアプリも長期間接続してなかった場合,最新のインストーラで入れ直したほうが更新時間が少なくて済む.

テキスト・画像・動画・音声ファイルやプログラムの設定ファイルは,必要なものはホストに移動・コピーさせてから削除.

メールソフトにホストではもう見れないような古いメッセージが残っていれば,エクスポートしてホストに移す.

セキュリティソフトは契約期間が残っていれば継続使用で構わないが,終了しているなら削除する.
仮想マシンでは危険なサイトの閲覧などを控えるようにすれば,Windows Security Essential (WSE) だけである程度の安全は保証される.
但し,Windows Vista SP2 の延長サポートが終了すると,ウィルス定義ファイルの更新も停まる.

WSE は Vista 標準の Windows Defender (WD) の上位に当たり, Windows Update によって導入される.
その際,WD は自動的に無効化してくれる(手動で有効に戻そうとしてもエラーとなるが,アンインストールもできない).


・レジストリ・タスク スケジューラの清掃,UAC の暗転抑止

アンインストールしても「プログラムの追加と削除」のリストから消えない場合がある.
アプリケーションの追加と削除の一覧からプログラムを手動で削除する方法]に従って,レジストリから不用な情報を消す.

レジストリ エディタを起動したついでに[Windows VistaのUACの暗転を解除する]作業も推奨.

同様に[互換性の設定を消去]についても確認.
不用なものについてはレジストリや「タスク スケジューラ (taskschd.msc)」から削除しておく.


・ディスクのクリーンアップ,デフラグ,復元ポイントの削除

ディスクの空きを更に増やす.

エクスプローラーでトップフォルダのプロパティを開き,[ディスクのクリーンアップ]を実行.

続いてデフラグ.
OS 標準としては「ディスク デフラグ ツール」が用意されている.
[コントロール パネル]-[システムとメンテナンス]の「管理ツール」にある「ハード ドライブの最適化」から起動.
ただ,Windows 2000 / XP にあったような,ファイル断片化の様子やデフラグの進捗を視覚的に確認する方法が Windows Vista 以降には標準では用意されていない.

Disk Defrag Tool of Windows Vista

また,長期間デフラグされていなかった HDD だと,異常に時間がかかる(自分の場合,5 時間超).
スペックの低い仮想マシンでデフラグするよりは,ホストに VHD を接続して,そちらでデフラグすれば時間を短縮できる.
しかし,これはこれでやけに処理が速過ぎて不信感が募った.

GUI ベースで視覚的にも安心感のある,Auslogics 社の「Disk Defrag」が無料で利用できる.
※ インストール時に注意しないとやたらと同社の製品「BoostSpeed」も導入させようとしてくるので,[Auslogics DiskDefragのインストールと無駄]を参考に必ずカスタムインストールするようにする.

可変サイズの仮想ディスクで,実サイズが最大まで拡張されていない場合,デフラグをすると却ってディスクサイズが大きくなることがあるので注意(処理中に確保される作業領域の影響?).

また,デフラグ後,空き容量が減ってしまう場合がある.
復元ポイントの影響]らしく一旦,これらを削除することで解消される.

作成済みの復元ポイントは「システムのプロパティ (sysdm.cpl)」の「システムの保護」タブにある[システムの復元]で確認できる.
古い復元ポイントが複数あるような場合は[ディスクのクリーンアップ]の「詳細オプション」タブにある,システムの復元とシャドウ コピーの[クリーンアップ]を実行すれば,最新のものだけを残して削除できる.
次項の Windows Update の更新適用前に自動で作成されるはずだが,この時点で保険として手動でひとつ作っておいてもいい.


ここまでの作業でディスクの空きが最も増えた状態となる.
最終的に必要となりそうな,おおよそのディスク容量が予想できるなら,次回の[仮想ディスクの圧縮と縮小]をここでしておけば,仮想ディスクのファイルサイズを最小限に抑えて,ホストへの負担を軽くできる.


・HotFix の作成・適用 (Windows / Office)

長らく休眠状態だった PC は Windows Update の更新が溜まっている.
これらをまとめて入れるために HotFix を作成する.

まずは,Windows Update を最後に適用した時期を確認しておく.
[スタート]-[Windows Update]で「更新履歴の表示」.

Windows Vista / 7 において,一部の更新プログラムのインストールで異常に時間がかかる,もしくは(処理のループにはまって)終わらない現象が確認されている.
これらについては手動のダウンロード・インストールで「先入れ」することで解消・緩和される.
具体的にどの更新プログラムが該当するかは,最新の更新によって随時置き換えられていくため,下記記事にて確認し,未適用であれば導入する.

参考記事:
解決!7とVista更新プログラムの確認が終わらない対策まとめ](パソコンりかばり堂本舗)
Windows7のWindows Updateが終わらない、遅い、進まない問題の解決方法](ぼくんちのTV 別館)

先入れの更新プログラムのダウンロードや HotFix の作成は,処理速度や再構築が必要になった場合も考慮して,ホスト側で行うほうが良い.
用意できたこれらのファイルはホスト上の共有フォルダに保存して,仮想マシンから参照できるようにする.

先入れが完了したら,「SP+メーカー」(A.K Office) を利用して,Windows Update を最後に適用した時期以降にリリースされた更新をまとめた HotFix インストーラ (*.iso) を作成する.

関連記事:
【導入編 1-3】インストール CD の ISO イメージを作成 [SP+メーカー(OS 編)]
【導入編 1-4】インストール CD の ISO イメージを作成 [SP+メーカー(HotFix 編)]

HotFix 作成時の注意点.
適用が失敗する更新も出てくるので,数が多い場合は複数に分けておいたほうが対処がしやすい.
.NET Framework 関連は容量が大きいため,HotFix は分けてもいい.
Office / IME 2010 関連も利用していた,したい場合のみ別途作る.
また,SP+メーカー本体に同梱されているアップデートリストは情報が古くなっている.
公式サイトの[アップローダ]に有志の方が投稿してくれている最新版がないか確認する.

ISO ファイルが全て用意できたら仮想マシンの光学ドライブに接続し,HotFix を順次適用する.

このとき適用に失敗した更新があれば,エラーログ (C:\Users\username\AppData\Local\Temp\VSTINSERR.LOG) に記録される.

失敗したものについては数が多ければ HotFix の再実行,少なければ手動で入れるか後程,オンラインにしてから Windows Update で適用する.
※ 再実行しても成功していたものについては処理がスキップされるので問題はない.

なお,HotFix の適用後は自動ログオンが無効化されるため,有効に戻しておく.


・必要なプログラムのインストール・更新

ネット接続不要でインストール・更新できるプログラムを入れる.
インストーラはホスト上の共有フォルダに保存して,仮想マシンから参照する.
ネットゲームの場合は,サーバー接続によるアップデートはあとでオンラインにしてから行う.


この段階のディスクの使用量がほぼ必要最低限に近い.
次の最終回では[仮想ディスクの調整とオンラインでの環境整備]をして P2V を完了させる.

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